2014年06月04日

土星を観よう!

土星は環(リング)がある惑星として有名です。小型の望遠鏡でも簡単に見ることができるので、もし、まだ、見たことがない人がいたらぜひ、チャレンジしてみてください。今年の場合、いま土星は見頃を迎えています。南の空に、赤く輝く火星。火星から左手側(東側)に目をそらしていくと、火星からこぶし3〜4個ぶん離れたところに、もう一つ明るい星が見えます。これが見頃を迎えた「土星」です。一等星より明るい0等星の明るさで、てんびん座のほぼ真ん中に位置しています。

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望遠鏡を持っていなくても、全国津津浦々に、公開している天文台施設があります。高原や人里離れたところに大型の公開天文台施設がありますが、街中でも科学館やプラネタリウム館で週末などに観望会を開催しているところもあります。事前申し込みが必要な場合や、空いている日時が限定されている場合もありますので、事前に確認してから出かけましょう。

望遠鏡で土星を見ると、本当の土星のサイズは地球の直径の9倍(太陽系で木星に次いで大きい)、重さは95倍もある巨大なガス惑星なのにもかかわらず、とても小さく、かわいらしく見えます。観望会でもっとも人気の高い天体が土星です。

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石垣島天文台(国立天文台)にて


次に、土星の話題ついて紹介しましょう。1997年に打ち上げられた米国NASAの土星探査機カッシーニは、7年間の旅(32億キロ)ののち、2004年に土星に接近、その後、土星とその周りを回る衛星たちを調査しました。カッシーニの活躍を契機に、土星と環、衛星について、いくつもの新しい知見が得られています。

例えば、土星の環が小さな氷の粒子で出来ていること。驚くほど細かいところまで捉えたその画像には数千もの細い環とそのすきまが写っていました。環は差し渡しで20万キロメートルを超えるのに、とても薄くて、最も薄いところでは3メートルの厚さしかありません。このため、15年おきに地球から見ても環がまったく見えなくなる時期があるくらいです。

土星の環が太陽系形成期、すなわち、46〜40億年ほど前の大昔に形成されていたなら、環はすでに黒ずんでいるはず。ところが白く輝くのは形成されたのが最近との説が有力でしたが、じつは、スーパーコンピュータによるシミュレーションにより、常に、塊が壊れ、また形成されという過程が環のなかでは繰り返されているため、常に白く輝いていることが分かりました。

土星の衛星についても数多くのことが分かりましたが、いま、研究者たちがもっとも心惹かれる衛星は、エンケラドスです。エンケラドスは土星から24万キロメートル離れたところを33時間ほどで公転しています。直径は平均500キロメートルほどで、土星の衛星としては6番目の大きさです。

カッシーニの探査から、エンケラドスの南極近くにタイガー・ストライプと呼ばれる平行に走る4本の巨大な裂け目が見つかりました。長さが130キロ、深さは数百メートルもあります。この断層から、間欠泉が吹き上がっていることが分かりました。

まるで火山噴火のような活動は、木星の衛星イオや海王星の衛星トリトンでも見つかっていますが、それらと比べてもこのエンケラドスの吹き上がる氷の粒子は太陽系内でももっとも壮大な眺めといえます。じつに、このエンケラドスの氷の噴火によって、土星の環の一つEリングが形成されていることも判明しました。エンケラドスの南極表層の下には海が広がっていることは間違いなく、気の早い人は生物が存在するのではと予想するくらいです。

このような土星と土星の環、そして、土星を回るまるで太陽系のミニチュアのような60個を超える個性あふれる衛星たちにも思いを馳せて、今晩の土星をながめてみてください。

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エンケラドスの表面(NASA提供)


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エンケラドスから吹き上がる間欠泉(NASA提供)


国立天文台 天文情報センター
縣 秀彦
posted by 事務局スタッフ at 10:33| UNIVERSEニュース